長野県 野沢温泉村 昭和に入りスキー場と共に発展 現在は多様なアクティビティ 風情ある湯治の里 

長野県 野沢温泉村。

日本の市町村で唯一「温泉」の名がつく自治体です。

野沢温泉村ホームページ
長野県下高井郡野沢温泉村の公式ホームページです。

扇状地にある村

野沢温泉村は、長野県北部・信濃川中流域の東側、村の背後の毛無山に端を発す扇状地によって出来た土地にある温泉の村。

扇状地形の地面は上流からの土砂によって出来た堆積層。故に背後の山を水源とする伏流水が湧出しやすい土壌にあります。また、村の南には火山の噴火由来で出来たという北竜湖があり、そのため火山由来の地熱もある。こうした事も、この地が湯治場となるのに好条件であったと言えます。

野沢温泉村が歴史上に登場するのは、鎌倉時代中期。「湯山村」という名前で記されたとのこと。

江戸時代初期には湯治場として24件の湯宿があったとされています。

村の温泉街は、昔からの温泉街の造りとなっており、風情ある街並みとなっています。

無料の外湯(共同浴場)が13箇所ある

村内には、無料の外湯(共同浴場)が13箇所あり、誰でも入る事が出来ます。

何れの湯屋も、古の温泉街に合った、味わいのある建物です。

外湯は、扉を開けると衝立がありすぐに脱衣所と浴室が一つになった空間になっています。

写真は、外湯「大湯」にある2つの浴槽のうち「あつ湯」の方です。文字通り熱い浴槽です。湯温は45度以上ありそうで、水で埋めないと入れない熱さです。

この浴槽の隣に「ぬる湯」の浴槽がありますが「あつ湯」よりはぬるめですが、やはり45度程度はありそうで、水で埋めないと浸かるのは難しいかも知れません。

ですが、この外湯の主な利用者は、地元の高齢の方々が中心です。日頃から熱めの湯に入っているため、たまに利用をする観光客としては、水で埋めにくいと感じるかも知れません。

私は、いくつかの外湯を巡り、地元の高齢の方が一人で利用しているところに、水で埋める事を断り、温くして浸かりました。ですがおかげで、地元高齢者との会話ができ、親近感が持てました。

雰囲気としては、日本でいう昭和中期の、近所のコミュニティに似ています。

こうした空間とコミュニティがある場所は、昔ながらの温泉地であっても、なかなかないと思います。

野沢温泉は、観光地でもありますが、昔ながらの湯治場でもあるので、古くから続いている習慣もあります。

写真の朝市もその一つです。毎週日曜の朝6時から7時30分まで行われています。近頃は出店も少なくなっているそうですが、それでも活気があります。

また、若者や、海外からのインバウンド客も増えているため、写真のような洒落たカフェやレストラン、土産物店も、街の中には見られます。メニューには、きちんと英語表記もなされています。

村(自治体)が運営するスキー場と観光施設

村の主産業は、観光業。野沢温泉スキー場は、昭和時代に施設全体が村営となり、住民と行政が一体となった観光開発が進められてきた村です。

野沢温泉スキー場は、ゲレンデトップとゲレンデベースの標高差もあり、広くて多様なコースのある、日本でもトップクラスのスキー場です。

現在では、夏季には、野沢温泉の3つあるゲレンデベースの一つである日陰ゴンドラリフト前には、野沢温泉スポーツ公園を整備し、子供が遊ぶことの出来る遊具や、夏スキーゲレンデ、日本最長クラスのジップラインを設けて営業をしています。写真はジップラインの滑り出し口のタワーから撮影しました。

夏スキーゲレンデは、特殊なマットを敷き、機械制御で定期的に全面に水を撒いて、板が滑るようにしています。全長は約600mと、滑りごたえのある長さです。

夏ゲレンデを、ジップラインのスタート地点から撮影

そして、他のゲレンデベースの一つである長坂ゴンドラリフトは、夏も営業しており、やまびこ駅(山頂駅)までMTB(マウンテンバイク)を運び、そこからのダウンヒルコースや、山頂駅付近に園地が設けられ、観光客が楽しめるようになっています。

写真は、長坂ゴンドラリフトの山麓駅でMTBをレンタルし、でゴンドラに乗せて撮影しました。1基のゴンドラで、MTBを2台まで載せられるようです。

私はレンタルしましたが、自身でMTBを所有していれば、それをゴンドラに載せて、ダウンヒルを楽しむ事ができます。

新長坂ゴンドラリフトができるまで 一覧 | 野沢温泉スキー場
長野県野沢温泉村の極上のパウダースノーが楽しめるスキー場。コース・ゲレンデ数は44コースもあり、その約40%は初心者向けのゲレンデです。初めてスキー、スノーボードをされるお子様も安心なファミリーレーンもございますので、ぜひ皆様で楽しくご利用ください。

長坂ゴンドラリフトは、2020年12月にリニューアルされ、乗車人数も増えたほか、速度も向上し、山麓駅からやまびこ駅(山頂駅)まで、リニューアル以前は15分以上の乗車時間が10分以内になったそうです。

ゴンドラの乗り始めは、樹林の中でしたが、高度が上がるに連れて、野沢温泉街が一望できるようになります。

山頂駅近くの園地。レストランもあります。

サイクルスタンドに止まっているのは、やまびこ駅(山頂駅)からMTBでダウンヒルを楽しんでいる方々のものです。

子供が遊べるちょっとした遊具も置いてあります。

やまびこ駅(山頂駅)に到着。当然の事ですが、山麓駅でゴンドラに乗る際も、やまびこ駅でゴンドラから降りる際も、係の方がいるのでご安心を。

MTBコースは、写真のような冬はスキーゲレンデとなる草原や、林間に作られています。

山麓駅(標高約600m)とやまびこ駅(標高約1200m)との標高差は約600m。

一般に、高度が100m高くなると0.6℃気温が下がると言われるので、600mだと約4℃ほど低い事になります。夏は涼しいです。

MTBコースには、初級~上級と難度が3種類のコースに分けられており、初級では途中からは写真のような車道を走るコースが多くなります。日陰で適度な速度で下るので、気持ちが良いです。ただし、登った先にある湖畔やキャンプ場に向かう自動車も通るので、注意が必要です。

やまびこ駅から山麓駅までは、初級コースをゆっくり走って1時間30分程です。

野沢温泉には史跡も多く存在します

野沢温泉村は、鎌倉時代中期には温泉の村として知られている歴史ある村です。

村内には、温泉を由来とした史跡も多く存在します。

写真は、村の最も奥、標高の高い場所にある、源泉群の一つ「麻釜(おかま)」のうち最も大きな「大釜」です。

観光客など一般の人は、柵の外から見るだけにはなりますが、沸騰して湧き出している源泉が間近で見られるため、外湯の源泉の熱さの理由が解ります。

麻釜の近くには、平成に入り建てられた「麻釜観世音」もあります。

麻釜と同じ位の高みにあり、100mほどの所には「湯澤神社」があります。

かつては「湯山神社」と呼ばれた事もあったとのこと。

湯澤神社のすぐそばには「薬王院 健命寺」、更にその隣には「温泉薬師堂」があります。

いずれも、健康や長寿を願い尊ぶ古刹であり、この村が昔から湯治場であった事を顕しています。

更に、驚いたことに「野沢の忠治地蔵菩薩」という仏像がありました。

国定忠治が中風の湯治に来ており、その時に世話をしていた旅籠屋の女性によって供養の為に建立されたそうです。

国定忠治は、御存じの方も居られるかも知れませんが、上野国(現在の群馬県)伊勢崎市付近の出自の侠客で、天保の大飢饉で農民を救済した事で知られる人物で、後に大衆演劇に用いられるようになっています。

国定忠治 - Wikipedia

以前のブログで記しましたが、赤城山中にある「滝沢の不動滝」付近にも忠治の史跡があります。

群馬県 前橋市 粕川町 赤城山中で最も大きな滝 国定忠治の史跡あり 滝沢の不動滝  | nature-history 自然・歴史・社会・生活
群馬県を象徴する山、赤城山。その南山麓に「滝沢の不動滝」はあります。道中までの道はやや狭いが、駐車場は広い赤城山には山頂部の大沼まで至る車道は南側の2本と北側の1本の計3本あり「滝沢の不動滝」は赤城山南面の県道16号線沿いにあります。この道は急峻な山に開かれた道でもあり、車道としてはやや狭い道です。野生動物が現れる場合...

ウィキペディアによれば、上州(現在の群馬県)と信州(現在の長野県)一帯で活動していたとありますが、交通機関の無かった時代にこのような遠方まで来ていたのですね。

最後に、道の駅を紹介したいと思います。

新潟方面から村を訪れると、国道沿いに「道の駅 野沢温泉」があります。令和元年に作られた、まだ新しい道の駅です。

名産である野沢菜や、蕎麦が食べられる直売所やレストランがあります。

道の駅の建物前に設置されている木像は、野沢温泉村の道端のそこかしこにあるほか、殆どの旅館やホテルの中にも祀られている男女一対の道祖神で、野沢温泉村の守り神でもありシンボルです。

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